プロジェクトを成功に導くために

プロジェクトマネジメントとは、スコープ、コスト、スケジュール、人的リソースなどの制約条件下において、成果物をクライアントの期待を満足するレベルで提供することだと思う。

ここで、プロジェクトを成功に導くために、重要な点が3つある。

まず、制約条件は、コントロールできるということ。制約条件が限られた領域では、そもそも解空間が狭いため、局所最適にしかならない可能性がある。プロジェクトが失敗する原因の一つは、この制約条件が非常に限られた状態があらかじめ決定され、そこからプロジェクトがスタートすることにある。始まったときには、すでに勝負がついてしまっている。
すなわち、スコープ、コスト、スケジュールなどの制約条件はできるだけ広く確保するべきである。そして、プロジェクト開始後でも、その制約条件を変更することができるのであれば、変更を検討するのは、重要なことである。制約条件は、条件としてあくまでも変えず、力技で何とかしようとする例があまりにも多いように思う。

次2点目。プロジェクトの成果物は、大きく言って、システム開発の場合は、システムであろうし、プラント建設の場合は、プラントであろう。その場合、成果物のレベルは、あくまでもクライアントの期待を満たしたかどうかということである。言い換えれば、プロジェクトの成否は、ステークホルダーの期待を満たすかどうかで決まる。つまり、ステークホルダーの期待レベルを上げすぎないようにコントロールするのが非常に重要だ。

最後3つ目。制約条件も成果物のレベルといった外的要因をこれ以上コントロールできないとなれば、あとはプロジェクト内部をいかにコントロールするかということになってくる。そこはいろいろなことが考えられると思うが、僕は「モチベーション」と「効率化」がキーポイントだと今は感じている。

限られたスケジュールと人的リソースで求められるレベルに達するのは容易な事ではない。時には、それを長時間労働でカバーするのはやむをえないと思う。そういう日々が日常になると、やはりチームのモチベーションは下がる。倒れる人が出てくると、チームの雰囲気はさらに悪くなる。そんな時、やはりリーダーが「絶対にやり遂げる」という意志を見せ、周りを鼓舞することで、チームの雰囲気は変わる。そして、チームが一丸となって一つの目標に向かえた時、チームの力は、個々の能力の総和を超える。僕は、その力を信じている。
ただ、やみくもに勢いで突き抜けるというのは、リスクがある。長時間労働が続くと必然的に効率は下がる。したがって、忙しくても時には早く帰る、土日は休むということは、長期的に考えると効率的だったりする。

以上、まとめると、

  • スコープ、コスト、スケジュールなどの制約条件は、プロジェクト開始時に広く確保すること。
  • 開始後であっても、変更できるのであれば、変更を検討すること。
  • プロジェクトの成否は、ステークホルダーの期待を満たしたかどうかであるということ。
  • 制約条件下で、チームのパフォーマンスを最大化するためには、個々のモチベーションを上げ、チームが一丸となること
  • 忙しい中でも、常に効率性を考え、仕事の仕方を工夫すること